平成17年度第4回三宅島調査(速報)
東京都島しょ農林水産総合センター大島事業所
目的 :三宅島において、磯根漁業の産業重要種であるテングサの着生状況調査を行い、漁業者に情報を提供する。今回は、三宅島の漁港や港の周りと北西部の調査を行った。
調査日 :平成17年7月13日(水)〜14日(木)
傭 船:金丸(船長:三宅島漁協沖山邦男組合長)
調査地点:
図1に示した三宅島沿岸域12地点
調査項目:マクサおよびオオブサの0.5m2枠取り調査(1×0.5m枠)によって着生量を把握し、調査地点毎に作柄評価を行った。評価基準はA級(着生量1,000g以上/m2)、B級(着生量500g以上1,000g未満/m2)、C級(着生量500g未満)とした。また、枠取りでサンプリングした藻体10本の藻長を計測し、平均値を算出した。
調査結果:
・1日目(7/13)は堤防周りのテングサ調査を行った。
・坪田漁港と三池港の側面や周りでは良質のマクサの群落がみられたが、着生範囲は狭かった。
・湯の浜漁港と大久保港では堤防側面の浅場でオオブサが着生していたが、着生量は少なかった。堤防側面の深場やその周りではマクサは非常に少なかった。
・伊ヶ谷漁港と錆が浜港ではテングサはほとんどみられなかった。
・坪田漁港と三池港ではアントクメが広範囲に分布しており、着生量も非常に多かった。
・錆が浜港では岸壁側面でトサカノリが非常に多く着生していた。
・2日目(7/14)は島の北西部のテングサ調査を行った。
・オオブサはクズレイシからマタズシロまでいずれも群落がみられた。クズレイシと伊豆岬ではやや着生量が少なく、藻丈も短かったが、アゲハマからハシガサキ、マタズシロでは着生量も多く、質も良好であった。
・今年度の第1回目から4回目までの調査によって、島の北西部から北東部にかけては広範囲に良質のオオブサ群落が確認された。着生量も多く、漁業として十分成立すると考えられた。
・2日目に調査したすべての場所で、水深5m前後の大岩の側面に良質のマクサ群落が確認された。密には分布していないが、所々に小規模群落がみられ、質も良好であった。これまでの調査で、マクサが順調に回復しているのは漁港や港の岸壁周り以外では島の北西部だけであった。
・2日目のオオブサ群落にはわずかながら高級品であるオニクサも混じっていた。さらに陸側ではもっと多く着生していると思われるが、波浪のため近づけなかった。
・ジョウネでは、トサカノリが非常に多く着生していた
表1.マクサの漁場評価
調査地点 漁場評価 1u当たり着生量(g) 平均藻長(mm)
@ 坪田漁港  C 329 165.1
A 三池港 B 874 183.1
B 湯の浜漁港
C 大久保浜
D 伊ヶ谷港
E 錆ヶ浜港
K ジョウネ B 688 156.0
表2 オオブサの漁場評価
調査地点 漁場評価 1u当たり着生量(g) 平均藻長(mm)
F クズレイシ C 465 125.8
G 伊豆岬 C 290 127.9
H アゲハマ  B 851 168.9
I ハシガサキ B 612 179.1
J マタズシロ A 1,052 177.9
表3 オニクサの漁場評価
調査地点 漁場評価 1u当たり着生量(g) 平均藻長(mm)
F クズレイシ 60
G 伊豆岬 90
H アゲハマ
I ハシガサキ 116
J マタズシロ
写真1.吊り金の角にマクサが着生している。(坪田漁港) 写真2.漁港側面に着生しているマクサ(坪田漁港)
写真3.漁港側面の水面付近に着生しているオオブサ
     (湯の浜漁港)
写真4.岸壁側面にトサカノリが非常に多く着生していた。
     (錆ヶ浜港)
写真5.大岩の側面に着生しているマクサ(クズレイシ) 写真6.潮間帯下部にはオオブサ群落がみられた(クズレイシ)
写真7.大岩の側面に長いマクサが着生している(アゲハマ) 写真8.潮間帯下部のオオブサ群落(アゲハマ)