旬魚探訪
くさやの「つけ汁」
 伊豆諸島の名物と言えば、なんと言っても「くさや」。この名前を知っている人は多くても、実際食べたことがある人は、何人くらいでしょうか?無論、「おれは食べたことがある」や「私、大好き」という通の方も、少なくないとは思いますが。
 「くさや」の多くはムロアジ類を利用して作られています。ちなみに他にはトビウオやタカベ、サメ、サンマといった魚でも作られています。この「くさや」の「つけ汁」は、江戸時代、塩と水が貴重であった島で、継ぎ足しながら使われ続けた結果、生み出されたものですが、最近の研究では、この中には、各種ビタミンやアミノ酸が多く含まれ、また、くさや菌による、抗菌作用があることが分かってきました。もっとも、島では昔から「薬」として使われていたそうですが(お腹が痛いときに直接飲んだり、傷口に塗ったりの万能薬)。この「つけ汁」が「くさや」独特の風味を生み出しています。微妙な成分は、島によって、また加工屋さんによって異なるので、当然「くさや」の味もそれぞれ異なってきます。「つけ汁」のお陰で、防腐剤も添加物も一切使っていない「くさや」。まだの方は是非1度試してみては?私が美味しいと思う焼き方は、遠火で、できれば、炭で焼けば最高です。家庭では、オーブントースターを使うと、簡単に美味しく焼けます。「それじゃ、朝のパンが・・・」と言う人には、使った後、よく手入れをしていただくか、一層のこと専用トースターを用意していただくという手もあります。そして、そこの「くさや」通を自称するあなた、今度は「つけ汁」に挑戦してみては如何ですか?!・・・今回は、「くさや」なので、ご紹介するお店は省略させていただきます。

写真.1 魚は開いたあと、伝統の「つけ汁」に半日程浸けられます

写真.2 一尾ずつ丁寧に処理されていきます

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