東京魚チング

アオムロの本当の名前は?

 日本産ムロアジ属には7 種類の仲間がいる。この7 種類を総称してムロアジというのだが、八丈島でムロアジと言えばアオムロを指す。ところが、他の地方でムロアジといってもアオムロを指すとは限らない。アオムロという呼び名は伊豆・小笠原諸島での地方名(方言)である。八丈島に限らず、我が国では多くの魚介類がそれぞれ地方名を持ち、しかも同一種が地方によっては名前が異なるので、まことにややこしい。こんな時のために、日本国内で統一した名前として標準和名がある。アオムロの標準和名は「クサヤモロ」である。以前、来場された方から「アオムロ、クサヤモロ、どちらが正しい?」との質問があった。答えは「どちらも間違いではない」。本当を言えば、アオムロにはDecapterus macarellus という由緒正しい学名がある。生物の学名は1種類毎に生物学的特徴や遺伝・生化学的特性などが比較検討され、進化の系統を考慮して国際的に定められた命名法により決められる。人間で言えば戸籍上の名前に相当する。学名はラテン語まじりで難解だが専門家や学者はこの名前を知らないと国際的な仕事はできない。結局、アオムロは地方名、標準和名、学名と3つも名前を持っている。しかし、いくら由緒正しい名前でも魚屋さんの店先で標準和名はまだしも、学名を叫べばギョッ(魚)とされるのがおちである。親しみのある地方名、通用しにくい標準和名、由緒正しいが難解な学名、呼び名としてはどれも間違いではない。釣った瞬間に見せる背の鮮やかなマリンブル−はアオムロという地方名にふさわしい。しかし、くさやとなる運命を表現された「クサヤモロ」という標準和名もグ−だ。誰がつけたか、どちらも味(アジ)のある良い名だ。ところで、標準和名が「ムロアジ」というムロアジがいる。また、ややこしくなってしまった?mu
アオムロ棒受網漁写真
写真・アオムロ棒受網漁

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