奥多摩分場ニュース
第62号 平成12年7月28日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
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奥多摩川鮎友釣り解禁日調査結果!
 6月25日(日曜日)、アユの友釣りが多摩川上流部(羽村水道取水堰から奥多摩湖下まで)で解禁となりました。
 奥多摩分場では本年も奥多摩町の古里友釣研究会の協力を得、御獄の玉堂美術館〜鳩ノ巣大橋の間で、当日釣獲したアユを測定させて頂きました。その結果をお知らせします。
 解禁日の釣獲尾数は調査区間で8名で126尾、1人当たり6〜25尾、平均は15.8尾(5時〜14時30分)、大ききは全長10.3〜22.0cm、平均16.03cm、体重は10.3〜103.6g、平均34.6gでした。大きさはやや小振りでしたが、釣獲尾数は5年ぶりに平均で15尾と良い結果となりました。解禁日当日の天候は雨、条件がやや不利なことを考えても久しぶりの良い釣獲結果と言えるでしょう。
 奥多摩分場では解禁前、奥多摩町の川井堰から尾崎までを潜水調査をしましたが、前年と比べ、多くのアユが生息しているのを観察しています。解禁日以来、7月1〜2日にかけて、また、台風3号等による集中豪雨によって多摩川上流の日原川が荒れており、少しの雨でも濁りが出やすい等、友釣りには不利な条件がそろっていますが、今後、清流が戻れば、必ず良い釣果があるものと思われます。
 また、前号の「奥多摩分場ニュース」61号6月22日でお願いした標識アユの報告が解禁日から一週間後までに4尾ありました。これらは何れも黄色ビーズ標識(川井堰下で5月11日放流、 湖産由来)を付けており、放流地点付近の川井堰〜尾崎で釣られたものです。ご協力ありがとうございました。今後も標識アユを釣られた方は奥多摩分場までお知らせください。
アユ解禁調査経年変化
平成11年の魚病被害について
 平成11年(1月1 日〜12月31日) の都内魚病被害状況と魚種別生産状況がまとまりましたのでお知らせします。
1、魚病による被害量及び金額
 平成11年の生産量は103t (前年より+9.9%) 、生産額は1.06億円 (前年より-15.7 %) でした。内訳は、ニジマス49.5t 、34,432千円、ヤマメ42.5t 、49,595千円、イワナ3.6t、6,560千円となっています。
 魚病による被害は平成5、6年度頃から増加傾向にあり、平成11年の被害量は10,936kg (前年より+14.8 %) 、金額は10,414千円 (前年より-5.1%) でした。被害量とその金額は生産のほぼ10%となり、ほぼ前年とおなじ割合を示しました。
 被害の半数近くは、例年通りIHN(伝染性造血器壊死症)が占め、次いでビブリオ病によるものでした (図参照: アユは含まず。)。
2、魚病・新疾病等
 東京都における新たな疾病情報としては奥多摩分場成果報告会( 平成12年3月) で報告した連鎖球菌症( 平成10年都内で初めて発生) が確認されました。この魚病の現在までの発生は平成10年にニジマス2件、ヤマメ1件の計3件、平成11年にニジマス3件となっており、今年の4月以降の発生は有りません。この連鎖球菌症の概要は右下のとおりです。症状はIHNやビブリオ病によく似ていますが、IHNのような急激な斃死はなく、ビブリオ病のような体表の潰瘍や鰭・肛門の発赤は見られません。この疾病に対する効果的な薬剤はなく、使用できる水産用医薬品はないので、誤って薬剤治療など行わないようにしてください。それらしい病魚が見られたら水産試験場にご連絡ください。連鎖球菌症は全国的にも発生件数が増加しておりますので、他県からの購入には注意が必要です。
魚病による被害金額
魚病による被害金額
連鎖球菌症
感受性魚種:ニジマス、ヤマメ、アマゴ、アユ、ウナギ、ティラピア、ブリ、カンパチ、マダイ、ヒラメ。
原因菌:Streptococcus iniae(ニジマス、ヤマメ、アユ:β溶血性連鎖球菌症)
症状:眼球の突出・出血・白濁、心外膜の肥厚・白濁、( 腹部膨満、鰓貧血気味、肝臓貧血、死亡組織・精巣・幽門垂の充血、腸管発赤)
対策:保菌魚・発病魚を導入しない。
薬剤治療:マス類では、使用できる水産用医薬品はない。

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