奥多摩分場ニュース
第65号 平成13年4月13日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
TEL(0428)85-2028・FAX(0428)85-1509
多摩川の秋川小庄堰で川魚緊急避難
 多摩川は平成4年に「魚ののぼりやすい川づくり推進モデル事業のモデル河川に指定され、魚の遡上・移動を制限する河川横断工作物に「魚の遡上できる」魚道が順次改修され、平成12年度には東京都農地緑政課による秋川の小庄堰魚道の改修も行われました。改修工事では、堰本体周辺を締め切り干出させますが、地元秋川漁協は、その干出から魚を救出するため平成13年2月5日と3月2日の2回「川魚救出作戦」を行ないました。このとき奥多摩分場では現場に立ち会い、捕獲・放流された魚類の確認をしましたのでお知らせします。
 このような干出では、その川に住んでいるほとんど全ての魚を捕まえることができるので生息魚類の把握には一番有利な方法です。2月5日は堰の用水取水側約半分が、3月2日にはその反対側が行われ、秋川漁協の理事さんを中心に多くの人が参加され、ポンプで排水して少なくした水の中の魚を手網で次々に捕獲し、下流側に放流されました。大物では約50cmのウナギが2尾もでてくるなど、干出ならではの採集風景でした。捕獲・放流された生物は右表の通りです。
 2月5日ではヤツメウナギの仲間ではスナヤツメが、その他魚類では14種類、甲殻類ではサワガニ、アメリカザリガニが確認されました。3月2日は前回出現種からニジマス、ギンブナ、キンギョの3種を除いた11種類とスナヤツメ、甲殻類ではヌカエビが確認されました。
 出現数は、ウグイ、ギバチ、オイカワ、昔は多摩川水系にいなかったカワムツB型とアカザが多く見かけられました。また、スナヤツメやウナギは個体数は少なかったのですが、2回とも出現しており、これらの魚は小庄堰周辺で普通に生息すると考えられました。
分類群 科名 標準和名
円口類 ヤツメウナギ科 スナヤツメ
魚類 ウナギ科 ウナギ
サケ科 ニジマス
ヤマメ
コイ科 ギンブナ
キンギョ
ウグイ
アブラハヤ
オイカワ
カワムツ”B”型
カマツカ
ドジョウ科 シマドジョウ
ギギ科 ギバチ
アカザ科 アカザ
カジカ科 カジカ
甲殻類 サワガニ科 サワガニ
ザリガニ科 アメリカザリガニ
ヌマエビ科 ヌカエビ
カワムツ”B”型写真
カワムツ”B”型
アカゲ写真
アカゲ
サクラマスを見つけてください
 平成13年4月3日多摩川下流部に銀毛ヤマメ(サクラマス予備群)1年魚を400尾放流しました。これは、東京湾や川に再びサクラマスを増やすために行っていることです。
 サクラマスは川で生まれたヤマメのうち、海に下って大きく育ち、サケのように川に戻って産卵し一生を終える魚です。
 かつてはごく普通に東京湾や多摩川で見ることができる魚でしたが、水質の悪化や魚道のない多くの堰等の影響により、その姿を見ることができなくなりました。しかし近年アユの復活に続いて、東京湾や多摩川で少数ですが再び姿を見ることができるようになりました(写真は東京湾で捕れたサクラマス)。
 サクラマスはとても美味しい魚で、有名な『富山のマス寿司し』の材料になっています。また、そのきれいな姿と強烈な引きから釣りの対象としてとても人気のある魚です。
 今回放流したのは、平均で全長19cm、体重55gの大きさでした。これが戻ってきたときには、全長30〜50cm体重600〜1800gになるものと考えられます。サクラマスを捕獲された方は是非下記にご連絡下さい。粗品を進呈します。なお、放流魚は目印として脂鰭を切断しております。

連絡先 東京都水産試験場 奥多摩分場 TEL 0428-85-2028
                  資源管理部 TEL 03-3433-3254
サクラマス写真

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