奥多摩分場ニュース
第68号 平成13年8月13日
〒 198-0105  東京都西多摩郡奥多摩町小丹波720
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多摩川のアユ解禁日調査結果について
 猛暑の夏、水不足の夏となっていますが、奥多摩漁協管内の多摩川は例年4月下旬から5月上旬にアユが放流され、6月の下旬に解禁となります。本年は6月24日に解禁され、現在まで友釣りは順調に経過しているようです。水試奥多摩分場では地元のアユ友釣り研究会の協力を得て、解禁日の調査をしましたので、その結果をお知らせします。
 調査は、解禁日の平成13年6月24日、奥多摩漁協管内の4〜7区で釣獲されたアユを測定し、アユの生育と釣獲の状況を把握、その結果を過去の記録と比較しました。
 図1に過去との釣獲尾数、平均全長の変化を、図2に釣獲魚の全長組成を、表1に場所別の釣獲状況を示しました。それによると、本年は22人が301尾を釣獲し、平均は13.7(1〜26尾)と平成12年の15.8尾より若干少なかったものの、大きさは全長で 11.6〜22.3cm(平均17.88cm)、体重は11.6 〜 96.6g(平均50.9g)と昨年の16.03cm、34.6gよりかなり大きめでした。場所別では二俣尾、御岳、鳩ノ巣周辺で15尾以上釣れ、鳩ノ巣、奥多摩周辺で平均全長18.5cm以上、体重60g以上の良型でした。
 解禁日調査の結果ではこのように尾数においては昨年よりやや少なかったものの、型は大きく、解禁日以後も順調 に釣獲が続いている模様です。

図1.アユ解禁調査経年変化

図2.平成13年解禁時の全長組成
平成12年の魚病被害について
 平成12年(1月1日〜12月31日)の都内の魚病被害状況と魚種別生産状況がまとまりましたのでお知らせします。
 生産量、生産額はそれぞれ85t(前年比-18%)、1.2億円(前年比+15%)でした。この内訳は、ニジマス44トン、45,921千円、ヤマメ27トン、48,975千円、イワナ6トン、11,781千円およびアユ8トン15,200千円となっています。 被害量・額はそれぞれ10トン(前年比-3%)、16,779千円(前年比+61%)で、生産量・金額のそれぞれ1割程度でした(図3の被害額はニジマス、ヤマメ、イワナの合計でアユは含まれていません)。
 内訳は、「IHN」がもっとも多く、次いで「せっそう病」、「ビブリオ病」、「鰓病」となっていますが、「せっそう病」による被害が全体の40%と例年になく増えています。
 この「せっそう病」被害の大部分は大手の養殖池で発生したことによるもので、感染魚・保菌魚がいなくなった時点で消毒を徹底して、無菌卵・無菌種苗を導入しましたので、その後、現在まで魚病の発生はありません。
 この養殖池では数年前BKD(細菌性腎臓病)が発生したことがあり、その後は厳重な防疫体制をひき、3年程は安定生産・供給ができていましたが、どこからか「せっそう病」と「IHN」が侵入しました。
 この業者さんの防疫体制は、徹底しており、おそらく都内で一番と思われるものでした。どこから感染したのか・・・、感染経路は特定できませんが、「おそらく出荷先の活魚水槽から(飼育担当者談)」と思われます。
 出荷先の飼育池や活魚槽にIHNやせっそう病を発症中、あるいは感染耐化した魚がいた場合には、そこで使用した手網や輸送トラックを消毒せずに自分の池で使うことが感染源とな る可能性もあります。
 夏場は、釣場・キャンプ場や旅館・民宿への出荷が多くなりますが、そこが無菌なところばかりとはいえません。養殖業者の方は、面倒だとは思いますが、こまめに消毒作業を行ってください。

図3.過去5年間の被害額の推移
(クリックすると拡大します)

お詫びと訂正
前号の「是政橋1,527羽(88.0%)」は「是政橋1,527羽(38.8%)」の誤りでした。お詫びして訂正します。

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