No.261 平成12年4月18日発行
2000年4月〜6月の海況予測
 中央ブロック長期漁海況予報会議は平成11年度からは7,12月の年2回の開催となりました。しかし、例年春季は海況 変動とそれに伴う漁況変動の激しい時期であることから、関係水産試験場が担当水産研究所である中央水産研究所黒潮 研究部に予報会議の開催を要請しました。その結果、予報会議はされませんが、各県の海況担当者が海況経過と今後の 予測を情報交換し、中央水研黒潮研究部が取りまとめを行って予報を作成することになりました。 このような方法で作成された2000年4〜6月の海況予測が発表となりましたのでお知らせします。
(1) 実況と経過(1999年12月〜2000年3月)
 昨年、遠州灘沖で発達した黒潮蛇行は伊豆諸島海域にまで東進し、C型海況となった。その後、この蛇行はさらに東に移動し、2月上旬には伊豆諸島の東に移動した。この間、1月中旬に潮岬を越えた別の小蛇行が遠州灘で発達し、2月中旬にB、D型(W)型となった。2つの蛇行はそれぞれゆっくり東に移動したが、黒潮は3月末現在、遠州灘沖で離岸している。3月中旬に遠州灘沖の冷水域の東端が八丈島付近まで張り出したが、すぐに西に戻った。3月末現在B型が継続している。
1月 2月 3月
前半 後半 前半 後半 前半 後半
海況パターン C C B,D B,D B,D B
(2) 予測(2000年4月〜6月)
《黒潮》
 潮岬以東の黒潮は32°N,139°Eを中心として比較的規模の大きな流路変動をし、B型〜C型を繰り返す。
《沿岸水温》
 B型時は高め、C型時は低めで経過する。
(3) 予測の説明
 黒潮流路の蛇行は、ほとんどの場合、都井岬南東沖で発生した小蛇行が遠州灘沖まで東進し、そこで発達することにより形成されますが、小蛇行が都井岬沖から遠州灘沖に達するまでの時間が3〜4ケ月の場合はB,C型になることが経験的に知られていること。
 また、最近30年間の例ではA型に発達するのは2月〜8月に都井岬沖で発達した小蛇行に限られていること。
 九州南東岸での小蛇行の発生と東進が昨年暮から3月までに3回ほど認められ、遠州灘沖に達して発達し、B,C型海況となるパターンが今後も継続すると予想されること。
 過去の黒潮流路変動パターンのうち、よく似たパターンの年代との類似性から本年は1〜3月に都井岬沖で小蛇行の発生頻度が高いと予想されること。
 以上の理由から、昨年12月の予報を修正し、6月までN型とはならず、B,C型を繰り返すと予測しました。
 伊豆諸島南部海域の沿岸水温は、現在「高め」ですが、今後「低め」となり、その後またB型時は「高め」、C型時は「低め」を繰り返すと予測されます。
(4) 前回予測の検証
《黒潮》
予測:黒潮はC型流路をとり、期半ばまでC型流路が維持され、その後N型基調で推移する。
検証:2月上旬にC型からD型となったが、その後、遠州灘沖で冷水域が発達し、黒潮はB型となりN型とはならなかった。
《沿岸水温》
予測:「低め」→「高め」で推移する。小蛇行通過時は一時的に「低め〜やや低め」となる。
検証:水温はほぼ予測どおりとなった。


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